出会い
出会い
「なあ、仲間になってよ!一緒に冒険しよう!!」
それが、あいつとの出会い・・・。
今から考えると本当変なヤツだった。
2年前
ここは魔導師の村。といっても地図にそんな名前はない。
なぜかって? まあ、それは後で話すとして・・・。
まず、こんにちは!あたしは、アク、アク・フォーレイと言います!
ここでのあたしは13歳。幼い頃から魔法が使える、自分でいうのもなんだけど、けっこう凄腕の魔導師です☆
さて、あたしは半年前にこの魔導師の村に来たの。
その名の通り、この村には魔導師しかいない、、、っていうわけではない。
けっこう冒険者のフート(魔法を使えない人のこと)がいたりする。
このフートたちは旅をしている最中、偶然この村を見つける人がほとんど。
だけどここに来るフートたちはとにかくガラがわるい!
道に平気でゴミ捨てるし、宿屋で暴れたり、弱いモノいじめしたりなんてね!
なのに、この村の人たちは文句の1つも言わないの。
人がいいってわけじゃなくて、みんなこのフートたちが恐いのよ。
・・・うん、気持ちはわからないでもない。
実はこの村は、最初はフートたちと暮らしていた人たちが作ったんだって。
なんでもまだあたしが生まれるほんのちょっと前、何年も共存していたフートたちに追い出されたんだそうだ。
まあ、あたしも話に聞いたことだから、詳しいことは知らないんだけど、
でもひっどいんだよ!なんかフートは、今までずっと自分たちを魔法で守ってくれてた魔導師たちを、
いつか自分たちを奴隷にするんじゃないか!?っていう被害妄想だけで追い出したんだって!
そのとき、みんなは「そんなことするわけないじゃないか!」って分かってもらおうとしたらしいんだけど、
すごい戦争みたいになっちゃって、、そのとき、同士を随分なくしちゃったみたいで、、、、。
だからこの村は50人くらいの小さな村なのよね。。。
まあ、あとから、またフートにいじめられたっていう、あたしのような魔導師も迷い込んでくるから、人数は変動してるんだけど。。。
でもおかげでみんな「フート不振」よ!
それもあって、更にここに来るフートたちは、みんなごっつくて、人相が悪くて、危なそうな人たちばかりだから、なおさらね!
でもそういう人じゃないと、この村は見つけられないと思う。
なんてったってここは、あの魔物たちがものすごくたくさん住んでるっていう、フィドラの森を抜けてこないと、ここにはたどりつけないから。
それに、その森の反対側はもう海に面しちゃってて、そっちには普通の人が入れないように幻術の魔法がかかってるから、普通の人には何もないように見えるってわけ。
でも、この頃フィドラの森を抜けてくるヤツラが多くって、、、。
しかも結構、ここに魔導師の村があるってことが知れ渡っちゃってるみたいだから、その数はなおさら増える一方。
なんてったって、魔導師ってのは、フートにとっては今はお話の中だけの存在。
ほんとに生きているとしたら、それは珍しがってやって来るというわけなの。
でも、魔導師っていっても、魔法を使わなければフートと全く見分けがつかない。
それに、この村は至って平穏でどこにでもありそうな村だから、魔法が使えるからって、夢のようなファンタジーランドみたいにはなってないのよ。
だから血気盛んなこいつらには物足りない場所みたいね。
でもだからって、そこら辺で暴れるってのはどういうことなのよ!
この頃はほんとに、被害も酷いものだから、早くフィドラの森にも結界を張ろう!って言ってるんだけど、、、。
そんなに魔力を使う魔法を使える人が残念ながら、この村にはほとんどいない、、、。
みんなもう結構な歳だし、、、(失礼)
ただでさえ、海の方の結界で魔力を使ってるのに、(あ、これは大人たちが20人くらいで交代で魔力を使ってやってるんだよ。)
あんなモンスターだらけの森に持続して結界を張るというのは、とても大変な作業なんだ。
だから、今やってる対処としては、このフートたちが帰るときに、忘却の魔法をかけて、この村のことを忘れさせるってことぐらいかな、、、。
だけど、それじゃあ、今いるフートたちにはこの町をめちゃくちゃにされちゃうわけじゃない!?
だからあたしはこの村のために、迷惑かけているフートたちを追い出すって役を買ってでたの!
そのカイあってそういうフートはこの頃少なくなってきたんだけど、やっぱりまだいるといえばいる。
まったくこっちがおとなしいからってつけあがっちゃって!!
その日もあたしはいつものようにパトロールをしていた。
そしたら、またいたよ!道の真ん中で堂々と通行妨害している奴らが!
・・・ったく!!
「あんたらねぇ〜!そんなとこでボーっと座っていたら通行人の迷惑でしょ!
ほら、どっかよそにいってよ。」
あたしがそういうと、そいつら逆ギレしてきた。
まあ、たいていそうなんだけど・・・。
「なんだとてめぇ。どこで何しようと俺達の勝手だろ!」
「おめえみてぇなガキにどうこう言われる筋合いねぇ〜んだよ。」
「ほら良い子はおうちでおとなしくしてな〜。」
・・・。
あたしも温厚になったもんだなぁ。最初のうちはこんなこと言われたら即病院送りにしたのに。
「あのね、あんたらが何しようと勝手だけど、人の迷惑にならない程度にやってくれない?」
あたしは一応言ってみた。
「あ?てめぇ、これ以上うるさく言いやがったらこっちもただじゃおかねぇぞ!」
・・・、やっぱり。
こういう奴らには何を言っても無駄なんだ。
まあ、あっちもああ言ってるし、うるさいこと言わなきゃいいということで。
「ファイヤー・エンブレム!!」
「ぎゃぁ〜〜〜!!!」
「あちぃぃぃぃ〜〜!!!!」
「うわぁぁぁ!!!」
今何をしたのかというと、あたしは魔法で火の塊を出してそいつらに投げてやったのだw
「うわ!燃える!もえる!!!!」
まあ、本物の火だもん。熱くなかったらどうかしてるわよ。
男たちは一目散に逃げていった。
と、そのときだった。
突然変な男があたしの前に現れてこう言ったのは。
「おまえつよいなぁ〜、ちびのくせに。すげぇじゃねぇか!」
何?この男?
なんかずっと前にテレビで見た忍者みたいな格好・・・。
黒装束っていうなんとかなんとか・・・。
・・・でも待って、その前に・・・。
ちびですって!!!?
そりゃあたしは大きい方じゃないのは認めるけど、なによ!
あんただって同じくらいの背じゃない!!!
それからそいつはあたしに失礼なことをさんざん言った後にこう言ったんだ。
「俺、今あるものを探して旅をしてるんだ。なあ、仲間になってよ!一緒に冒険しよう!!」
・・・・・・。
は?
あたしは固まってしまった。
冒険?仲間??・・・ちょ、ちょっと待ってよ。
そ、そりゃ、今この世界は冒険者でいっぱいよ。
自分の修行のため、お宝探し、冒険の目的なんて人それぞれだけど、、、。
でも、でもね。
どこの世界に13歳のかよわい女の子を連れて旅しようなんてバカがいるのよ!!!
だって、だって、冒険者って大人がなるもんでしょ。
あたしたちみたいな子どもが冒険に出たって、そこら辺のモンスターにやられるのがオチよ。
まっ!あたしは負けない自信はあるけどね!!
なんたって、あたしだって、この村に来る前はそんなようなことをしていたときもあったし!
・・・っていっても、あたしの場合は、この村を見つけることに必死で、あまり周りを見ている余裕なんてなかったし。
それに、森とか洞窟とか、なんかヤバそうな所は避けて、安全な街道とかを通ってきたからなぁ。。。
って!いやいや!そうじゃなくて!!!
普通あたしたちの年代だったら学校でお勉強してるでしょ!?
・・・いや、あたしは行ってないけどさ。
っていうか、ここ学校自体ないし・・・。
ん?、でもちょっと待って、、、。
こいつホントに冒険者・・・?
どうみてもあたしと同い年か年下・・・。
なんでこんなやつが冒険なんかやってんだ?
なんて、あたしがあれこれ色々考えていると、その男は「ん?」という顔をして、「おまえ名前は?」と聞いてきた。
つくづく失礼なやつだな。
人に名前聞くときは自分から名乗れぃ!
しかももうあたしを仲間にした気でいるみたいだし。
じょうだんじゃないわ!
悪いけどあたしは行かないわよ!
・・・そりゃ、あたしだって少しは冒険に興味あるわよ・・・。
だって、楽しそうじゃない。自分の足で世界各地を見て回るの。
だけど・・・、あたしは行かない・・・・。
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「あいつといるといろいろ便利じゃん。」
「仲間仲間って言っておけばあいつすぐ俺達の言うこと聞いてくれるもんな。」
「でも、もうそろそろヤバイんじゃない?親もあの子と遊ぶなって言ってるし。」
「あんな便利なやつ他にいないのにな!」
「「「あははははは」」」
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・・・嫌な言葉が甦ってきた・・・。
思い出したくないことを思い出したあたしは、キッとこの男をにらみつけてはっきりと言った。
「あたしは行きません!!!
だいたい、なんなの?あなたが言うようなこんな小さな女の子を連れて冒険しようなんて。
自分で言うのもなんだけどね、あたしは13歳のかよわい女の子なの!!
そんな子を連れていこうなんて、誘拐もいいところだわ!!
ついでに言うけど、人に名前を聞くときはまず自分から!」
って、結構きつい言葉を言ってしまったが、なのにこいつは・・・。
「へぇ〜、おまえ13歳だったのか。どうりでちっちぇえ。」
まっ!人の話全然聞いてないわね!!
しかもまたちっさいですって!!!
うぅ、、、うがぁーーー!!!
あたしはもう怒りのあまり、すごい形相してたんだと思う。
もう一回こっちをみたこいつはちょっと慌てだした。
「ああ、わるい、わるい。俺はフィス・ライ、14歳だ!よろしく!」
・・・、え?・・・14歳・・・。
うそぉぉぉ〜〜〜!!!
あたしより年上!!!?
無理、ありえない。
だって見た目といい、言動といい、どうみたって・・・。
・・・年下・・・。
でも、今はそんなのどうでもいい、今のは訂正させて貰わなきゃ!
「・・・あたしはアク。
でも「よろしく」じゃないの!早く帰って!」
「なんで?」
「なんでって、だからあたしは冒険に行く気はないし。
あ、そうそう、それにあたしはまだ仕事があるの!こんなとこでぐだぐだやってるわけにはいかないの!」
「仕事ってなんだ?」
「害虫駆除よ。」
「?」
「だから、この村で迷惑なことをしているヤツを追い出したりなんだり・・・。」
「あ〜、やっぱり!」
「???、なにがやっぱりなの?」
「この村で一番強いヤツっておまえだろ!?
村の人から聞いたぜ!いっつも村のためにそこらにいるフートをぶっとばしてくれてほんとありがたい、って!」
「・・・そこらにいるのをぶっとばしてる・・・。」
確かにそうだけど、なんかその言い方だと、手当たり次第にやってる感じなんだけど・・・。
「そんで、その話聞いてさぁ。すぐに仲間にしたいと思って、探してたんだけど、名前聞き忘れちまってなぁ。でも、もうおまえでキマリだな!」
「・・・。キマリってなによ!決まったからってそんなことあたしにとってはどうでもいいわ!
と、とにかくあたしもう行くからね!」
あたしはその場から逃げ出した。
だって、そのままいたらきっと丸め込まれてたと思う・・・。
・・・仲間。
あたしはこの言葉が大嫌いだった。
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「ねえ、アクちゃん、私虹が見たい!ここに掛けてよ!」
「うわぁ、おい、みろよ、目の前に虹があるぜ!」
「ほんと、きれいだぁ。」
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あたしは走りながら、昔のことを思い出していた・・・。
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